エリアマーケティングにおける事業所データの見える化 ~RESASの活用例~

2025年4月22日 | マーケティング

RESAS

より精度の高いエリアマーケティングをおこなうためには、どの地域にどんな業種の店舗や施設がどのくらい存在しているのか、事業所データを見える化することが不可欠です。
今回は、内閣府と経済産業省が提供する地域経済分析システム・RESAS(リーサス)の活用例として、「事業所データを見える化すると 何がわかり、どんなことができるのか」をご紹介します。


※「RESAS」の分析メニューの中に、当社・日本ソフト販売の約700万件の事業所データベース(電話帳データ)が組み込まれています。「RESAS」には多種多様なメニューがありますが、当記事では、当社データが入ったメニューを中心に活用例をご紹介します。


■ RESAS https://resas.go.jp/


【活用例1】東・西「モノづくりのまち」を「金属製品製造・加工業」の立地で視る

金属製品製造・加工イメージ

「東の大田区」と「西の東大阪市」。どちらも広く知られた製造業の集積地であり、「中小事業所が多い」「大都市の中心地に近い」「工業地帯の一角(京浜工業地帯/阪神工業地帯」などの共通点があります。そんな両地域における「金属製品製造・加工業」立地の現状はどうなっているのでしょうか?


東京都大田区の「金属製品製造・加工業」を見える化すると・・・

大田区の工業地帯は、主に金属を素材とした「削る」「磨く」「形成する」「メッキする」といった特定の加工に特化した工場が集まっている点が特徴です。
「大田区に紙飛行機で図面を飛ばせば、すぐに製品になって返ってくる」と しばしば例えられるように、高度な加工技術と迅速な対応力を持つ工場が数多く存在する地域です。



▼大田区周辺の、2024年における 金属製品製造・加工業 の 企業立地

RESASの事業所立地分析メニューの検索条件で「東京都-大田区」「2024年」「第二次産業(製造・加工)- 金属製品」と指定すると、事業所がマッピングされます。

出典: RESAS(事業所立地分析)


大田区-マッピング

▼ポイント情報を表示

地図上に表示されたポイント(事業所)にマウスカーソルを合わせると、事業所名がポップアップ表示されます。事業所名下の「指定ポイントの事業所一覧」から該当事業所の情報を確認できます。

出典: RESAS(事業所立地分析)


大田区-ポイント情報

▼大田区周辺を図形で囲んで選択

地図上の任意の地域を図形(四角/円/多角形)で囲んで選択すると、選択した地域内の事業所一覧を表示できます。選択地域内の事業所件数も確認できます。

出典: RESAS(事業所立地分析)


大田区周辺-地域指定

▼選択した地域の「金属製品」事業所一覧

出典: RESAS(事業所立地分析)


大田区-事業所リスト

▼10年前(2014年)の大田区周辺 金属製品製造・加工業 の立地状況

検索条件の表示年は2011から2024年まで指定できます(2025年4月現在)。最新の状況だけでなく、近年の立地状況も遡って確認できます。

出典: RESAS(事業所立地分析)


大田区-金属-2014

大阪府東大阪市の「金属製品製造・加工業」を見える化すると・・・

東大阪市は、製造業の事業所数が全国5位、事業所密度は全国1位の、日本屈指のモノづくりまちです(いずれも令和3年経済センサス-活動調査結果に基づく順位)。中でも、金属製品関連の事業所は大きな比率を占めています。
東大阪市の工業地帯は、大企業と中小下請けという縦の関係だけでなく、近隣の協力工場による横請け・仲間請けのネットワークが構築されている点が特徴です。1社1社が技術を高め、それらの企業が繋がり合い、旺盛なチャレンジ精神で新しいモノづくりを追求しています。



▼東大阪市周辺の、2024年における 金属製品製造・加工業 の 企業立地

RESASの事業所立地分析メニューの検索条件で「大阪府-東大阪市」「2024年」「第二次産業(製造・加工)-金属製品」と指定すると、事業所がマッピングされます。

出典: RESAS(事業所立地分析)


東大阪-マッピング

▼ポイント情報を表示

出典: RESAS(事業所立地分析)


東大阪市-ポイント情報

▼東大阪市周辺を図形で囲んで選択

出典: RESAS(事業所立地分析)


東大阪市-地域指定

▼選択した地域の「金属製品」事業所一覧

出典: RESAS(事業所立地分析)


東大阪市-事業所リスト

▼10年前(2014年)の東大阪市 金属製品製造・加工業 の立地状況

出典: RESAS(事業所立地分析)


東大阪-金属-2014

[まとめ]個々の事業所名がわかり、立地状況が地図上で一目瞭然

全国または地域・業種ごとの事業所数は、RESASの別のメニュー(経済センサス活動調査に基づく「産業構造分析」)で確認できますが(※)、RESASの事業所立地分析メニューの利点は、個々の事業所名がわかり、地図上のどこに立地しているかが一目瞭然、指定した地域の事業所リストも表示される点です。


※指定した表示年によっては、都道府県単位や市区町村単位での表示ができない場合もあります。


また、都道府県内・市区町村内といった区切りに縛られず、地図上で任意に指定した範囲の 様々な業種の立地状況やそこに存在する事業所がわかるため、きめ細やかなエリアマーケティングのサポートツールとして利用できます。


日本ソフト販売では「電話番号付きの事業所データ」を提供しています


RESASに採用されている事業所データを、電話番号・住所・座標 等の情報を含めて提供しています(2000年から現在までの企業データを保有)。営業リストやエリアマーケティングに最適な事業所データを、業種や地域ごとにセグメントしてご提供します。


【活用例2】東・西「観光都市」を3つのデータから重層的に視る

観光イメージ

「東の鎌倉市」と「西の京都市」。どちらも国内・インバウンドともに人気の有名観光地で、「歴史上、都だったことがある」「寺社・仏閣が多い」「大都市圏に近い」などの共通点があります。一方で 市の規模に大きな開きがある(京都市の面積は鎌倉市の20倍超)という違いもあります。そんな両地域における、「観光スポットや店舗」と「人の動き」の関係性はどうなっているのでしょうか?


鎌倉市の「観光スポット」「飲食店」「人の動き」を見える化すると・・・

鎌倉市は、南側を海に面し、東西と北は山に囲まれた風光明媚な土地です。鎌倉時代に幕府が置かれ、多くの寺院が開かれ、独自の「武家文化」が形成されました。江戸時代にはすでに観光地として人気を集め、明治から大正にかけては、作家など多くの文化人が滞在・居住するまちとして広く知られるようになりました。近年では、アニメの聖地巡礼スポットも話題となっています。寺社・仏閣、海岸、ハイキング、飲食と、幅広い年齢層に対応できる観光資源が豊富なまちです。


▼鎌倉市周辺の「観光スポット」「飲食店」と「滞留人口※」

RESASの観光地分析メニューでは、地図上に 3種類のデータ(観光スポット、事業所、滞留人口)を同時に描画できます。下図は、検索条件で「神奈川県-鎌倉市」「すべての観光地」「飲食店」と指定し、滞留人口メッシュのサイズを「250m」とした例です。

※ある地点に15分以上滞留している人の1時間あたりの平均人数です。滞留人口のカウント方法として、30分間滞留している人は0.5人としてカウントされます。


飲食店のアイコンにマウスカーソルを合わせると、店名がポップアップ表示されます。

下のマップをみると、鎌倉市には比較的海に近い鎌倉駅周辺と、内陸部の大船駅周辺に人や施設が多く集まる地域があります。観光スポットは鎌倉駅周辺から由比ヶ浜にかけて多く、事業所(店舗)は両方の地域に多く、大船周辺は滞留人口が多い地域が広範囲にみられます。

出典: RESAS(観光地分析)


鎌倉市 観光マップ

▼鎌倉駅周辺の観光スポット(イベント)を拡大表示

観光スポットや店舗等の密集箇所は拡大表示できます。地図上の件数をクリックすると地図が拡大表示され、観光スポットまたは店舗が個別にアイコンで表示されます。アイコンにマウスカーソルを合わせると、観光スポット名または店名がポップアップ表示されます。

出典: RESAS(観光地分析)


鎌倉-拡大表示

▼鎌倉駅周辺のイベント「鎌倉えびす」の説明情報

観光スポット(イベント含む)の「詳細表示」をクリックすると、該当箇所の観光情報が表示されます。

出典: RESAS(観光地分析)


鎌倉市-観光地情報

▼指定したメッシュ(鎌倉駅西付近)の滞留人口の状況を表すグラフ

特定のメッシュの、滞留人口ピラミッドや属性構成、月別・時間別推移などのグラフを表示します。メッシュを指定(クリック)すると表示される「このメッシュのグラフを見る」から確認できます。
上記のメッシュ(鎌倉駅西付近)の例では、60代以上の女性、市内に居住、午前11時から午後4時ごろの滞留人口が多くなっています。

出典: RESAS(観光地分析)


鎌倉市-滞留人口-1

鎌倉市-滞留人口-2

鎌倉市-滞留人口-3

▼大船駅周辺を図形で囲んで選択

地図上の任意の地域を図形(四角/円/多角形)で囲んで選択すると、「選択した地域のグラフ」を表示することができます。

出典: RESAS(観光地分析)


鎌倉-大船地域

▼図形で囲んだ地域(大船駅周辺)の滞留人口の状況を表すグラフ

囲んだ地域の、滞留人口ピラミッドや属性構成、月別・時間別推移などのグラフを表示します。上記地域(大船駅周辺)の例では、60代以上が男性・女性ともに多く、市内居住者が8割超を占めており、午前10時から午後7時ごろの滞留人口が比較的多めとなっています。

出典: RESAS(観光地分析)


鎌倉市-滞留人口-大船

鎌倉市-滞留人口-大船2

鎌倉市-滞留人口-大船3

▼滞留人口メッシュの条件を細かく指定した例

滞留人口メッシュは、表示する時期(月、日、時間帯)や性別(男性、女性、不明)、年代(20代以下、30代、40代、50代、60代以上、不明)、推定居住地(同一市区町村内、同一都道府県内、他都道府県)を、細かく設定できます。
下画面の例は、滞留人口メッシュの条件を、2024年、5月、休日、20代以下・30代・40代、メッシュサイズを250mと指定した例です。2024年5月の休日に、若者やファミリー層が 鎌倉市周辺のどこに多く滞留していたか、といった状況が確認できます。

出典: RESAS(観光地分析)


鎌倉-7月休日

京都市の「観光スポット」「飲食店」「人の動き」を見える化すると・・・

京都は日本有数の観光都市であり、悠久の歴史に育まれた文化の都でもあります。神社・仏閣はもとより、博物館や美術館、自然、景観、食、伝統工芸、祭り、四季折々の行事など、京都の観光資源は枚挙にいとまがありません。
観光産業は宿泊業、運輸業、飲食業など関連する産業のすそ野が広く、京都経済のけん引役となっています。



▼京都市周辺の「観光スポット」「飲食店」と「滞留人口」

下図は、RESASの観光地分析メニューで「京都府-京都市」「すべての観光地」「飲食店」と検索条件を指定し、滞留人口メッシュのサイズを「250m」とした例です。

京都市都心部(四条通り近辺の地域)が、観光スポットや飲食店の特に密度が高い地域となっており、滞留人口が多いメッシュと重なっています。また、その東側の山科地区も飲食店が多く集まり、滞留人口が多い箇所も目立っています。


出典: RESAS(観光地分析)


京都市-マッピング

▼京都市四条通り近辺の観光スポットを拡大表示

出典: RESAS(観光地分析)


京都-四条通り拡大

▼京都市四条通り近辺の歴史スポット「新京極」の説明情報

出典: RESAS(観光地分析)


京都市-観光地情報

▼指定したメッシュ(新京極周辺)の滞留人口の状況を表すグラフ

新京極周辺では、20代以下の女性と60代以上の男性の割合が多く、京都市外やその他の都道府県からの流入が多いことがわかります。また、午後2時ごろが滞留人口のピークとなっており、正午から午後5時ごろとそれ以外の時間との滞留人口の差が大きく出ています。

出典: RESAS(観光地分析)


京都市-滞留人口-新京極

京都市-滞留人口-新京極2

京都市-滞留人口-新京極3

▼山科周辺を図形で囲んで選択

出典: RESAS(観光地分析)


京都-山科地域指定

▼図形で囲んだ地域(山科周辺)の滞留人口の状況を表すグラフ

山科周辺では、60代以上の男性・女性(特に女性)が多く、市内の居住者が9割以上を占めており、夜間から早朝にかけての滞留人口が多めで、午前7時から午後3時頃までの昼間の滞留人口はやや少なめです。

出典: RESAS(観光地分析)


京都市-滞留人口-山科

京都市-滞留人口-山科2

京都市-滞留人口-山科3

▼滞留人口メッシュの条件を細かく指定した例

下画面の例は、滞留人口メッシュの条件を、2024年、7月、平日、60代以上、メッシュサイズを125mと指定した例です。2024年7月の休日に、シニア世代が 京都市周辺のどこに多く滞留していたか、といった状況が確認できます。

出典: RESAS(観光地分析)


京都-7月平日

[まとめ]3つのデータを掛け合わせるとわかること

RESASの観光地分析メニューは、全国各地の観光地情報と事業所データ、滞留人口の3つのデータを掛け合わせて同じ地図上に描画できることが最大の利点です。

上記マップを見ると、鎌倉・京都両市とも観光スポット、飲食店、滞留人口のすべてが集まっている地域がありますが、特に京都の都心部周辺の集中度・密集度の高さが際立っていることがわかります。

また、マップに表示する観光スポットや事業所データ(店舗等)は様々に指定でき、滞留人口メッシュも、表示する時期や性別、年代、推定居住地といった条件を細かく設定できます。このため、いろいろな設定パターンを試行することにより、それぞれの観光スポットや事業所と滞留人口の関係性を探ることができ、任意に指定した商圏のポテンシャルを計る材料として役立ちます。

たとえば、ホテルや商店等の事業者が「出店候補地における競合の立地状況を把握する」、「滞留人口の多い時期や性別、年齢などを参考に、きめ細かい品ぞろえやイベントを企画する」、「滞留人口が少ない年齢層に訴求する戦略を考える」、「集客等で提携する近隣の異業種を探す」など、RESASの観光マップはマーケティングの様々な場面での活用が考えられ、エリア分析の基礎となるマップとして利用できます。


■ 地域経済分析システム・RESASの概要


地域経済分析システム・RESASには、人口・産業構造に関する政府統計をはじめ、全国約750万事業所の立地データ、全国12万件の観光資源情報、全国のスーパー・ドラッグストアにおける販売実績データ、エリア内の人の流れや滞留時間、などのデータが搭載されています。

7つのマップ(マーケティング、観光、人口、産業構造、地域経済循環、農林業漁業、医療・介護)で構成されており、トップ画面でマップを選ぶと、各マップの分析メニューと説明が一覧で表示されます。調べたいメニューにわかりやすくたどり着くことができ、直感的な操作で調査・分析ができます。

地方自治体が人口・産業など地域の課題を可視化し、具体的な施策や地域戦略等を立案することはもちろん、企業・団体・個人経営者やそれを支援する事業者(コンサルタント・金融機関等)によるエリアマーケティング、市場調査など、幅広く役立ちます。

なお、令和4年12月に閣議決定された「デジタル田園都市国家構想総合戦略」において、各地域が目指す地域ビジョンの実現に向けた課題の見える化を支援するため、2025年3月に RESASの新システムがスタートしました。

新システムは、ユーザーインターフェイスの改善や描画速度の向上、類似メニューの集約、データの精緻化、スマートフォン対応など、数々の改善・向上策により 利便性と分析機能を高めています。


※詳細:新システムリリース(PDFファイル)
https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250307002/20250307002-1r.pdf

RESASに組み込まれている 日本ソフト販売の「事業所データベース」の詳細はこちら


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